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防災

外国籍住民が始めた「防災勉強会」彼らの思いは?

防災対策。やらないといけないとは思っているけど、なかなか行動にうつすことができない...。なんて人も多いのではないでしょうか?

しかし、なにかをきっかけにスタートを切った人もたくさんいます。

防災の"はじめの一歩"を踏み出したさまざまな人たち。その中から、今回は「外国人」の視点で防災を考えてみたいと思います!

地域社会の一員である外国人

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外国人人口が、東京に次いで全国で2番目に多い愛知県(平成27年国勢調査/総務省)。

人口に占める外国人の割合が多い市町村上位には、企業城下町や名古屋のベッドタウンが名を連ねていて、ものづくりのまちを支える労働力として、はたまた消費者として、外国籍住民が地域社会の中で一定の役割を担っていることが判ります。

西尾市に誕生。外国人による防災ボランティア

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愛知県営緑町住宅の一角。ごみの捨て方案内は、日本語とポルトガル語の併記

第7位の西尾市にある県営緑町住宅は、全体の約6割が外国人世帯で、前自治会長のエルナニ・セーサルさんもペルー国籍です。

セーサルさんは、来日25年目の2013年に「外国人防災ボランティアグループ」を設立。外国人主体の防災勉強会をスタートさせました。

日本の避難訓練は「いいな」

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ペルーは、日本同様、プレート境界付近に位置する地震大国。1970年には、死者約7万人に上る大地震も起きています。しかし、セーサルさん、日本に来るまで地震に備える必要性をあまり感じていなかったとのこと。

それでも、日本に来て参加した避難訓練は、セーサルさんの目に新鮮に映ったようです。「いいな、と思いました。必要だと。どこに逃げればよいかとか、あらかじめわかるから」。

知識があれば、助けられる。役立てる。

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一方、勉強会ではいつも通訳として活躍する横山一男さんは、ブラジル出身。「ブラジルには地震はありません。だから、ブラジル人には地震のことはわからない。地震があれば、いざとなったら帰国すればいいと思っているんです。自分も最初はそうでした」。

しかし、いまや来日して25年が過ぎた横山さん。いまさら帰国しても「何をすればよいかわからない」。日本で生きていく以上、ここに住んでいる以上、地震のことを学ぼうと思ったそうです。

勉強会を始めた動機を、ふたりはこう言います。「知識があれば、まわりの人を助けられる。地域の役に立てると思ったのです」。

ほかに、こんな理由もありました。

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団地の集会所で2か月毎に開かれる勉強会。この日は西尾市赤十字奉仕団の協力を得て、心肺蘇生の方法やAEDの使い方を学んだ

「勉強会をスタートさせた頃、よく外国人の犯罪が取り沙汰されていました。良い外国人もいるということを知ってほしかったんです」。

ひとたび大災害が起きた際、彼らが一番恐れているのは「差別」なのだといいます。もしかしたら、避難所で受け入れてもらえないかもしれないと。

お隣さんに国籍は関係ない

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そこで、東日本大震災の際、避難所で外国籍住民に寄り添った宮城県国際化協会の方に電話で尋ねてみたところ、宮城県の避難所では日本人と外国人の関係は良好だったそうです。ただ、外国人だけで集団になっていると、日本人サイドも壁を作ってしまいがちではと、心配点を指摘してくれました。

結局は、誰しも普段から隣人として交わる気持ちが大切なのでしょう。その点、セーサルさんたちは自治会運営にも携わってきました。

ここに住んでいる、という意識

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日曜学校や、たまった用事をこなすため日曜日は忙しい彼ら。参加出来ない人にも知識をと、1年ほど前からフェイスブックで勉強会を中継している

知恵なり技なり力なり、あるいは物品でも金銭でも時間や場所でも、皆が可能なものを出し合って成り立ってきたはずの地域社会。

その中で「自分は役立てる」と胸を張り、困っている人を「助けたい」と願い努力することは、コミュニティ形成の根幹ではなかったか。それはそのまま、地域防災のあるべき姿ではないのか。

地域のため社会のために自ら動くことが少なくなった現代ニッポン人のひとりとして、セーサルさんたちに教えられた気がしました。(取材:羽原幸子)

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