近年、オーガニックカフェが注目を集めています。オーガニックカフェとは農薬や化学肥料を使用しない有機農業によって栽培された野菜を中心としたメニューを提供しているカフェのことです。2023年、愛知県安城市にも新たにオーガニックカフェが誕生し、そこでは健康に良い食事だけでなく人や環境に優しい様々な取り組みが行われています。
今回はカフェの枠を越え、SDGsの輪を広げているオーガニックカフェLEAFを取材しました。
オーガニックカフェLEAF
オーガニックカフェLEAFは、2023年11月に安城市箕輪町にオープンしました。『地球と生き物にとことんやさしい』をコンセプトに、農薬や化学肥料を使っていない野菜を中心としたメニューが多くの人の心をつかんでいます。
食事をしたお客さんに話を聞いてみると、「野菜がたくさんで、普段自分では作れないメニューでおいしいです」「やっぱり食べ物のことは気になるので、メニューがヘルシーなのがいいですね」と話していました。
体にも心にも良い商品を提供したい
オーガニックカフェLEAFのオーナーで、メニュー考案なども手掛ける下村則晃さんに話を聞きました。
「農薬、化学肥料、除草剤も使っていないため農家さんは手間がかかるのですが、その分愛情がある、そういう野菜を使わせていただいています。地元の方に喜ばれるような、体にも心にも良い商品を提供したいと思っています」
子育て中のお母さんたちに寄り添う
LEAFはお客さんのおよそ8割が女性で、中でも子育て世代のお母さんが多く訪れます。そのため店内はベビーチェアや子ども用の絵本を充実させたり、ファミリースペースを設けたりするなど、家族で過ごしやすい空間を意識しています。
そんな思いから、LEAFでは事前に予約をしておくと、スタッフが専用スペースで子どもと一緒に遊ぶ、託児サービスが利用できるようになっています。夏休みには子どもの宿題をみる企画を行うなど、下村さんは子育て中のお母さんたちに寄り添い、ゆっくり楽しんでもらえるためのお店作りをしています。
子育て応援の取り組みは広がっていき、いまでは定期的に専門家による子育て講座などが開催されています。
スタッフの子育ても応援する
LEAFの店内には、小さい子どもを背負って接客するスタッフの姿が。子育てをしながら働くスタッフに話を聞いてみました。
「働きたいなとは思っていたのですが、なかなか子どもと離れたくなかったんです。ここではありがたいことに子どもと一緒にいられるので、楽しく働けています」
このように、お客さんに限らず、LEAFはスタッフの子育ても応援しています。下村さんは、「子どもファーストお母さんファーストで、色んな働き方を試みて、新しいかたちを作っていけたらとチャレンジしている段階です」と話してくれました。
貸し農園を通した環境保全への取り組み
LEAFでは環境保全の取り組みも行っています。そのひとつがお店の隣にある貸し農園「学びの体験農園」の経営です。利用料を払うことで1区画から借りることができ、自由に野菜などを育てて、持ち帰ることができます。農具や有機肥料は用意されているので、手ぶらで来て農業を体験できるのが魅力です。どのような人が利用しているのか、下村さんに聞きました。
「この農園では、農薬も化学肥料も使いません。また、動物性の堆肥も使わないようにして、このやり方に賛同される方だけに使っていただいています」
耕作放棄地を市民農園に
下村さんは、引き継ぐ人がおらず耕作放棄地となっている場所を畑に変えていきたいと考え、その考えに賛同する人たちを募り、初めは田んぼだった場所で土づくりから始め、借り主たちの手で畑へと転換させました。
安心・安全な野菜を子どもに食べさせたいという思いから、中には名古屋市から通っている人もいて、現在80区画全てが利用されています。
LEAFに共感し、自然派総菜を販売
LEAFの取り組みに関心を持ち下村さんのもとを訪れる人もいます。管理栄養士の伊藤今日子さんもその一人です。現在、毎週水曜日にLEAFでオーガニック野菜を中心とした総菜の販売を行っています。なぜLEAFで販売することにしたのか伊藤さんに聞きました。
「私も自然派で、無農薬でお米を作っていたこともあります。自然と共に子どもたちが育っていく環境を作りたいという思いや、お母さんが元気に子育てをしてほしいというところに共感したんです。自然派で活躍しているLEAFさんだったので、自分の世界もここを通して広がっていけたらと思いました」
保育園の子どもたちの野菜作り
取材したこの日は、みのわ保育園の子どもたちがLEAFの農園で育てる、秋冬野菜の打ち合わせに同行させてもらいました。
みのわ保育園ではLEAFの農園を借り、定期的に野菜の種まきや収穫体験を行っています。下村さんは、実際に野菜の種を持参し打ち合わせに参加します。
「作物が育つ様子を間近に見られる機会なので、色々な種類があると子どもたちは楽しいと思います」という先生の意見を元に、大根をメインとして様々な種類の野菜作りに挑戦することに決まりました。
自分で育てた野菜を食べてほしい
下村さんは、子どもたちに自分が育てたものを食べる、という体験をしてもらいたいと言います。
みのわ保育園 園長の前田祐子さんは、「保育士も保育で忙しく、なかなか畑まで手が回らないので、LEAFさんの力を借りられて、私たち職員にとってもありがたいですし、子どもたちに色々な作物が育つ過程を見せて、収穫させてあげられます。とてもありがたい試みを一緒にさせてもらっています」と話してくれました。子どもは、嫌いな野菜でも自分が育てたものなら食べられるということもあるといい、野菜作りは子どもたちにとって貴重な経験になっています。
人に優しく、地球にも優しく
人のため・環境のために、これからもやるべきことがたくさんあると下村さんは話します。
「人に優しく、地球にも優しくという思いがどんどん大きな輪になって、地域の発展につながればいいなと思っています」
この場所から広がるSDGsの輪が、今後この地域にどのような効果をもたらすのか注目です。(取材・撮影:岩口直人/リライト:石川玲子 2024年9月取材)
オーガニックカフェ LEAF
住所:安城市箕輪町神戸138−1
問い合わせ先:090-1728-1022
営業時間:11時~17時
定休日:月・火曜日
「シリーズ 未来へつなぐSDGsの輪」は、キャッチの番組でも放送中!
番組名:特集「地域の今」
地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。
「シリーズ 未来へつなぐSDGsの輪」では、この地域で広がっているSDGsの取り組みや、活動を紹介しています。
詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。
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