micro_ichiranyou_dai2.jpg
特集

Vol.29「刈谷駅周辺の飲食店のいま。手を取り合って未来を目指す」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

2021年2月下旬。1月の緊急事態宣言発出から1か月以上が経ちました。愛知県でも不要不急の外出自粛要請などを含む「緊急事態措置」がとられていて、いまだ感染症収束の目途が立たない状態が続いています。

そんななか、苦境に立たされているのが飲食店です。営業時間は夜8時までとなっているため、従来の収益があげられない状況が続いています。先行きが見通せないという不安を抱えるなか、生き残りをかける刈谷駅周辺の飲食店のいまを伝えます。

先の見えない中、生き残りをかける飲食店

feature29_01.jpg

刈谷駅の北側に広がる桜町。自動車部品メーカーなどの従業員たちが利用する飲食店が軒を連ねています。しかし、新型コロナの流行で会食の自粛が増えたため町の様子が一変。2021年1月に2度目の緊急事態宣言が出てからは、まちの灯りが減り、人出も少なくなりました。

このエリアで26年、地元の人たちから愛されて続けているスナック千恵の店主、尾崎千恵子さんは「飲食しながら話してもいけないとなると、なかなか来てもらえない。それが一番大変なところです」と苦境を語ります。

つらいのは自分のところだけではない

feature29_02.jpg

緊急事態宣言下では、営業は夜8時まで。夕方5時から開店していても、お客さんが1人も来ない日もあることから、スナック千恵では、水曜と土曜の2日だけ店を開けています。それでもできる限りの営業を続けてきたのは経営が苦しくとも憩いの時間を提供したいという思いがあるからです。

尾崎さんは「コロナ前と比べると、売り上げは90%マイナスです。でもそれは、私だけでなくみんなそうだから。いろんな商売、仕事の人が大変な思いをしている」と厳しい現状を語ってくれました。

影響は飲食店と取引する業者にも

feature29_03.jpg

2021年1月の帝国データバンクの発表によると、2020年の飲食店事業者の倒産件数は780件と過去最多を更新。今後、さらなる倒産の増加が懸念されています。

緊急事態宣言の影響は飲食店と取引する業者にも...。スナック千恵におしぼりを搬入している有限会社名信の倉本広伸さんは「三河地区、知多半島を中心に約600社と取引していますが、売り上げは前年の65%です。いまは国の支援で食いつないでいる状態で、早く日常が戻ってきてほしいです」と語ってくれました。

苦しくても、コロナ収束に願いをかけて

feature29_04.jpg

スナック千恵では、経費を減らすために従業員を休みにし、国の支援を活用するほか、年金も使って家賃などを賄っている状態だといいます。それでも国や県の要請に従うのは、安心安全な日常をふたたび取り戻すためです。「お客さんの安全を守りながら春に向けて頑張っていきたいですね。今は気力だけで何とかやっているような感じです」と尾崎さんは言います。

常連客も「僕一人だけでも来れば店の助けになるのかなと思っています」と、尾崎さんを応援するために、短い営業時間に合わせて店を訪れていました。苦しい状況が続くなかでも、すべての人たちがコロナ収束を切に願っています。

飲食店同士の横のつながりを失わないために

feature29_05.jpg

そんななか尾崎さんは、駅周辺の環境をよくしようと、近隣の飲食店などと一緒に「花と蝶のパトロール」の活動に取り組んでいます。月に一度みんなで集まり、一斉清掃や防犯パトロールなどを行います。現在は密を避けるため中止となっていますが、尾崎さんは今もひとりで見回りを続けています。

見回りの途中、出会った飲食店の店主と近況を報告しあう尾崎さん。「コロナ禍で味わっている痛みを分かち合うことも、いまできることの一つです。こんな状況下だからこそ、飲食店同士の横のつながりを離してはいけない。それがこれから再び桜町を盛り上げていくために必要なことです」と語ってくれました。

生き残りの道を模索する飲食店

feature29_06.jpg

一方で、今までとは違うサービスに生き残りの道を見出している飲食店もあります。刈谷駅前の中国料理店「香楽本店」です。常連客のため、これまで衛生面の不安から行わなかったテイクアウトを始めたほか、地元商店街の有志・まちづくり刈谷の仲間たちとともにデリバリーサービスにも取り組んできました。

杉浦幸夫代表取締役は「たくさんの利益が出るわけではないが、テイクアウトなどを始めたことで、みんなの仕事が生まれ、生きがいになったので良かったです。これからもみんなで力を合わせて継続したい」と話してくれました。

声を掛け合い、支え合い、苦境に立ち向かう

feature29_07.jpg

それでも杉浦さんは廃業する店が出てきた後の刈谷駅周辺の飲食店街の未来を懸念しています。「心配なのは街の顔ぶれが変わってしまうことです。ともに頑張ってきた仲間が廃業してしまうことは、商店街の未来に影を落とすと考えます。それでも、これまで駅周辺をみんなの力で発展、変貌を遂げてきたのだから、これからもみんなで協力できるまちにしたいですね」と話してくれました。

声を掛け合い、支え合うことで苦境に立ち向かう飲食店。コロナ禍を乗り越えた先に明るい未来があることを信じて、いまを生き抜いています。

(取材・撮影:映像舎/文:石川玲子/2021年1月取材)

スナック千恵

feature29_08.jpg

場所:愛知県刈谷市桜町2丁目54

電話:0566-28-4445

中国料理 幸楽本店

feature29_09.jpg

場所:愛知県刈谷市桜町1丁目19

電話:0566-21-0491

「シリーズ・コロナ禍をこの地域で生きる」は、キャッチの番組でも放送中!

feature01_06.jpg

番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ・ コロナ禍をこの地域で生きる」では、医療・教育、企業などに従事するこの地域の人々の声から、コロナ禍の時代をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

関連記事