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特集

Vol.39「攻めの経営で地域を笑顔に!安城デンビール再生計画」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

愛知県安城市のデンパーク園内で地ビールの醸造を手がける「安城デンビール」。しかし新型コロナ感染拡大以降、地ビールが味わえるレストランは緊急事態宣言により幾度となく休業に追い込まれました。

そんななか2021年4月、安城デンビールはいまこそ動くタイミングとクラフトビールの新ブランドを立ち上げました。今回は逆風吹き荒ぶなか、攻めの経営で突き進む安城デンビールの再生計画に迫ります。

デンパーク開園とともに誕生「安城デンビール」

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1996年のデンパーク開園以来、その目玉のひとつとしてクラフトビールの製造やレストラン運営を手がけてきた「安城デンビール」。2013年には高浜市のおとうふ工房いしかわが、完全子会社化しました。

しかしビールの醸造量は年々減少していて、さらに新型コロナが追い打ちをかけ2020年度の醸造量は7千リットルとデンパーク開園当時と比較すると10分の1以下まで減少していました。

事業をテコ入れ!新商品&新ブランドを発表

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そんななか低迷する事業をテコ入れしようと安城デンビールは、2021年4月に地元産のショウガを使ったジンジャービールを発売。あわせて、これまでの3種類のクラフトビールの商品名を一新、新ブランド「DEN ZOOLAND」を立ち上げました。

「DEN ZOOLAND」は、商品名を「協調性の無い羊の金屏風」や「尚、慈悲深い虎の独り言」など、ビールのテイストを動物にちなんだキャッチフレーズで表した遊び心あふれるシリーズです。

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安城デンビールの石川伸社長は、このプロジェクトの立ち上げについて「コロナ禍で、私たちのようなクラフトビールメーカーはどこも苦しい戦いを強いられました。そんななかでも『みんなが楽しめることって何だろう』と考えたときに、誰かと一緒に会話をしながら食べたり飲んだりしたときに、どんな話題が作れるか、楽しんで笑えるかどうかがすごく重要だと気づいたのです。

こんなときだからこそ、みんなが笑えるような話題を提供することが大事だと思ってこのプロジェクトをはじめました」と話してくれました。

新商品「ジンジャービール」の魅力とは?

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安城デンビールでクラフトビールの仕込み作業を任されているのは、若き職人・村上瑛悟さん(27歳)です。

「ジンジャービールは仕込みの段階でショウガを加えています。フルーツなどもそうですが、加熱すると風味がなくなってしまうものが多いので、本来は最後に加える場合が多いのですが、今回その方法は選びませんでした。でもその結果、かなり飲みやすい口当たりで、ショウガがほのかに香る出来上がりになりました。ビールが苦手という人にもすごく飲みやすくなっていると思います」と、新商品の魅力を語ってくれました。

地元スーパーなどでも商品展開

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「DEN ZOOLAND」は、地元スーパーや酒販店、産直などでも徐々に取り扱いが増えつつあります。ビール醸造を行う職人、村上さんも自ら酒販店などに赴き商品の品出し作業を行うとのことで、実際に売場に立ち、そこで得た情報をビールの仕込みにも活かしているそうです。

「DEN ZOOLAND」の取り扱いを始めたスーパーの店員に売れ行きについて聞くと「コロナ禍で瓶ビール自体があまり売れない状況ではあります。しかしDEN ZOOLANDはこれまでのビールとは違うおいしさがあるので、もっと売り場を増やして積極的に売っていきたいです」という回答が返ってきました。

今後の営業戦略も再生への鍵

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安城デンビールの営業を統括する北瀬尚之さんは、事業を再生していくためには営業戦略も大切だと話します。

「新たに立ち上げたDEN ZOOLANDをスーパーなどで品出ししていると、女性の方から『かわいい』などの声を頂きます。ヴァイツェンやボックなど、これまでデンビールが培ってきたクラフトビール醸造技術を守るためにも、より多くの人たちに知ってもらうための取り組みを今後もしていきたいと思います。またその他にも最近では、市内の大手製パン工場の周年行事で配ったオリジナルラベルのデンビールも製造しました。こうしたOEM(他社ブランド製品の製造)も今後柱に育てたい事業のひとつです。」

地域の人に笑顔を。デンビールの再生計画は進む

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さらに安城デンビールでは、この春からビールに苦みと香りをつけるホップの栽培にチャレンジしはじめました。栽培は安城市内の畑で数人の社員で始めたということですが、現在は近所の人たちも参加し、栽培しているとのことです。

石川社長は、ホップ栽培の可能性について「現在の状況では、デンビールの復活はまだ先になります。しかし、これまでの活動に対して手応えは感じていますし、ポップを栽培していたら、近所の方も参加してくれたように、みんなが集まることが実は企業再生にもなるし、まちの再生にもつながる。ホップを植えることで何か次の芽が出てきたらいいと思っています」と話します。

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今後について石川社長は、「これまで安城デンビールは、遠方から来てくれるお客様や海外から来てくれるお客様の方ばかりを見て、地元を見ていなかったように思います。

コロナ禍で遠方からの観光客がいなくなったいま、本当に大事にしなければいけないのは地域の人に笑ってもらうことだと再認識しました。これからはまず地元、地域の人たちに喜んで買ってもらえるビール製造をしていくことが目標です」と話します。地域に笑顔を届けるために、安城デンビールの再生計画は進みます。(取材・撮影:オフィスげんぞう/文:石川玲子/2021年5月取材)

安城デンビール

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クラフトビール製造と安城市のデンパーク園内のレストラン「ホレ・フェスト」で醸造するビールの提供を行う。クラフトビールの新ブランド「DEN ZOOLAND」は、レストラン店頭、通販などで購入可能。

■地ビール工房&地産地消レストラン ホレ・フェスト
場所:安城市赤松町梶1番地 安城デンパーク園内
営業時間:11:00~16:30※季節によって変動あり
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日)
電話:0566-92-7755
「ホレ・フェスト」ホームページ

■新ブランド「DEN ZOOLAND」
「デンビール」楽天市場店にて購入できます。

「シリーズ・コロナ禍をこの地域で生きる」は、キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ・ コロナ禍をこの地域で生きる」では、医療・教育、企業などに従事するこの地域の人々の声から、コロナ禍の時代をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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