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特集

Vol.40「苦境のなかで歩みを進める。刈谷・パンドラの会のいま」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

2020年7月に取材した愛知県刈谷市にある「認定NPO法人パンドラの会」。新型コロナの影響で売上が大きく落ち込み苦境に立たされる障がい者就労支援の現場をお伝えしました。
Vol.5「障がい者の居場所を守るために。刈谷・パンドラの会の奮闘」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

あれから1年、新型コロナの影響は続き、いまだ障がい者の自立や働く機会に大きな影を落としています。今回は苦境のなかでも障がい者のやりがいと居場所を守ろうと奮闘する「パンドラの会」のいまを伝えます。

障がい者のやりがいと居場所を守る「パンドラの会」

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愛知県刈谷市にある「認定NPO法人パンドラの会」は、知的に障がいのある子どもたちの親が集まり「子どもたちが将来、安心して働ける場を作ろう」と1996年に設立された団体で、就労継続支援と就労移行支援事業の両方を行っています。

就労継続支援B型事業所の「おかし工房パンドラ」では、年齢や体力などの理由で、雇用契約を結んで働くことが困難な人に、働く機会を提供しています。また就労移行支援事業所の「S&Jパンドラ」では、企業で働くために必要な知識の習得や訓練、就労後のサポートなどを行っています。

前回の取材から1年...。現在の状況は?

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前回の取材から1年が経ち、現在の状況についてパンドラの会の岡部扶美子会長に伺うと、「大変です。特に就労継続支援B型事業所のほうは、お菓子の売上が落ちていますし、障がいのある方の仕事量も減っているので、そこが1番辛いです」と話します。

利用者が働くやりがいを感じられる場所でもある就労継続支援B型事業所。しかし、コロナ禍でお菓子の受注が激減するなど仕事が減り、1年たった今でも売上は戻っていないようです。

利用者が働くやりがいを感じられる場所

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「おかし工房パンドラ」では、現在4人のスタッフと6人の利用者が在籍し、クッキーやケーキなどの製造、販売を行っています。利用者は、朝9時半から午後3時半まで作業し、作業量に応じて月に4万~6万円の工賃をもらっています。

利用者に話を伺うと「パンドラが大好きです。粉ふるいの作業が特に好きです」、「パンドラで働くのは楽しいです。後輩に負けないように頑張っています」と、パンドラでのやりがいを話してくれました。利用者にとってパンドラは働くやりがいを感じられる場所なのです。だからこそ事業者側にとってはこの1年、就労支援の場をどう守っていくのかに悩まされたといいます。

厳しい状況でも利用者の工賃、居場所を守る

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利用者の居場所を守るためにパンドラでは様々な工夫を凝らしています。本来の就業時間は午後3時半まで。しかしコロナ禍以降、お菓子の受注が減ったことで一日の仕事量が減り、定時を迎える前に作業が終わってしまうそうです。

そこでパンドラでは、利用者が午後3時半まで働けるように、店内の掃除を通常以上に丁寧に行ったり、利用者の体力づくりの時間に充てたりと、定時まで作業できる環境づくりを行っています。

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また、食品を扱うため味や品質に関わる材料費など経費を削減できないものが多くあるなか、少しでも経費を抑え利用者、スタッフの工賃や給与を確保していくために、廃棄ロスの減少や、電気・水道代など経費の削減にこれまで以上に取り組みました。

パンドラの会の坂口伊久磨理事長は、この状況について「状況は変わっていないというか、むしろ逆に悪くなってきています。通常であれば、企業や学校などでお菓子の販売受注を頂くのですが、現在はほとんどないため非常に苦戦しています。それでも利用者のためにどうにか踏ん張りたいです」と語ります。

変わらない支援と新たな支援

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苦境に立たされる就労継続支援事業所ですが、地域の支えもあります。新型コロナ対策で外部からの人を極力入れないようにする企業も多いなか、市内企業のいくつかは、パンドラの出張販売・注文を継続してくれているといいます。

また、取材時に訪れていた刈谷市西境町にある長善寺の住職は、お寺のくつろぎ処で提供するお菓子をパンドラのクッキーにしたいと相談していました。住職によると「バザーなどでパンドラの活動を知り、ぜひお寺でもお菓子を提供してもらいたいと思いました」といいます。どんな状況下でも、人々の心を救うのは地域の支援なのかもしれません。

思いが詰まった場所を守るために

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地域の継続的な支援に、新たな繋がり。苦境に立たされながらも、坂口理事長は「パンドラの会」の今後について、次のように語ってくれました。

「いままでは福祉業界には横の繋がりがありませんでした。けれども、コロナ禍で新たに多くの繋がりが生まれました。パンドラの会の利用者の仕事や生活を守っていくために、新たに生まれた繋がりをきっかけに、地域と手を結び、協力して事業を継続していきたいと思います。」

働くみなさんのやりがいや思いが詰まったパンドラの会。まだ先が見えない中、障がい者就労支援の場所を守り抜くための模索が続きます。(取材・撮影:ビデオハウス/文:石川玲子 2021年6月取材)

NPO法人パンドラの会

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「NPO法人パンドラの会」ホームページ

■おかし工房パンドラ(就労継続支援B型事業所)
場所:愛知県刈谷市築地町1-5-4
営業時間:9:00~18:00
定休日:土日祝
電話:0566-25-3012

■S&Jパンドラ(就労移行支援事業所)
場所:愛知県刈谷市一ツ木町1-1-13
営業時間:9:00~18:00
定休日:土日祝
電話:0566-91-5416

「シリーズ・コロナ禍をこの地域で生きる」は、キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ・ コロナ禍をこの地域で生きる」では、医療・教育、企業などに従事するこの地域の人々の声から、コロナ禍の時代をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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