誰もが一度はやったことのある「折り紙」。そんな折り紙をきわめている高校生たちを、愛知県刈谷市で発見!その名も「愛知県立刈谷東高校 折り紙部」。噂を聞きつけて訪ねてみると、刈谷市総合文化センターで行われる展示会を前に、部員の皆さんは大忙しの様子。
今回は、知られざる折り紙部の活動実態や展示会の見どころをレポートします!
※記事は2023年9月取材時点の情報です。
あれも、これも、折り紙で作れちゃう!
首里城、凱旋門、そして五重塔…。ズラリと並んだ迫力ある作品たち。これ、全部折り紙でできているんです。使われているパーツはなんと数万点以上!
2008年に創部された刈谷東高校折り紙部。現在は約20人の部員で、図書室を拠点にして活動中です。これまで1000点以上の作品を作り上げてきました。
折り紙部は全国でも珍しく、愛知県内でも刈谷東高校だけなんだとか。毎年開催している展示会には、多くの人が足を運んでいます。
図書室を居場所に
折り紙部の顧問を務める、学校司書の林田嘉乃先生です。
林田先生が手にしているのは、創部のきっかけとなった生徒が制作した思い出の作品だそう。
ある日、林田先生が図書室に飾るためのアジサイを折り紙で作っていると「何をしているの?」と1人の生徒から声をかけられました。一緒に折り紙を折っているうちに、徐々に生徒が集まり、図書室はあっという間に折り紙の作品であふれるように。
当時の校長の後押しもあり、のちに正式な部活動として結成されました。
ド迫力!葛飾北斎の絵をモチーフにした巨大作品
2023年の展覧会のテーマは「ただ只管(ひたすら)」。そうそうたる作品たちのなかでも目を引くのが、浮世絵師・葛飾北斎の絵をモチーフにしたふすま2枚分の超大作「夢の不二」です。富士山をバックに、タカがキジをとらえている様子を豪快に描いています。
2023年3月に卒業した部員が下書きしたものを今の部員たちが引継ぎ、約半年をかけて完成させました。全部で20パーツ以上を手分けして制作し、使った折り紙の枚数は1万枚以上だという力作です。部屋の天井にも迫る、圧巻のスケールに驚くこと間違いなし!
折り紙の表現は無限大
よーく見ると、折り鶴がびっしり!羽根の立体感や模様を、折り鶴を並べることで表現しています。
作品の質感に合わせ、さまざまな折り方を組み合わせているのがポイントです。
展覧会では夢の不二以外にも歴代部員が制作した作品を展示する予定なので、近くでじっくり観察してみて。
「作品が完成したときの達成感がすごい!」
部長をつとめる3年生の八代唯愛さんに話を聞きました。
八代さんは中学校で所属していた部活を途中で辞めてしまった経験から、「部活でリベンジしたい」と考えていたときに折り紙部に出会いました。
「最初は鶴とかを折るだけのイメージだったんですけど…」という八代さんですが、歴代の作品を見て心を動かされ、入部することに。
「なにもない状態から、作品が完成したときの達成感や感動がすごいんです」と声を弾ませます。
お手本がない作品作りに四苦八苦も…
大きな作品を作るときは、パーツごとに役割を分担しています。この日は展覧会に向け、細かなパーツを作りこんでいました。
林田先生は折り紙部の活動について「折り紙ってお手本がないんですよ。困難なことがあってもみんなで知恵を出し合って、考えて、生み出していく面白さや楽しさがある」と力説。部長の八代さんも「コミュニケーション能力が上がったと思います」と話します。
何万枚もの折り紙を折るという気が遠くなるような作品作りですが、一緒に打ち込んできたからこそ、部全体に一体感が生まれているのかもしれません。
折り紙ってこんなにすごいんだ!
最初は「折り紙部ってどんなことをするんだろう?」と不思議に思っていた筆者でしたが、作品を前に圧倒され、すぐに折り紙部のファンに。
折り紙部の皆さんの手にかかれば、新美南吉の「手袋を買いに」に登場するかわいらしいきつねの親子も折り紙で作れてしまうんです。ただの紙ではない…!すごい…!
林田先生は「折り紙というと『幼稚だ』『簡単そう』と思われることが多いけど、作品を見るとみんな『おおー!』と言ってくれるんです」と胸を張ります。
皆さんも刈谷東高校折り紙部の展示会に足を運んで、その無限の可能性を感じてみてください!(2023年9月取材・撮影、2024年9月開催情報を更新)
刈谷東高校 美術部・折り紙部展示会
※2024年度の展示会は終了しました。
2024年度のテーマは「挑戦」~ただ只管~
場所:愛知県刈谷市若松町2-104 刈谷市総合文化センター 1階展示室
期間:2024年9月18日(水)~9月23日(月)
開館時間:9:00~18:00(23日のみ17:00で終了)
主催:愛知県立刈谷東高等学校 生徒会・美術部・折り紙部(0566-21-3327)