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特集

Vol.7「介護施設の日常を守るために 老人ホームひまわり・安城」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

全国各地の介護施設で集団感染が相次ぎ、多くの高齢者を死に至らしめた新型コロナウイルスは、それまで当たり前だった日常を大きく脅かしました。3密を避け、人との接触を減らす対策が求められる一方、そうしなければ成り立たない現場もあります。そのひとつが介護の現場です。

介護施設の職員たちは、感染リスクにさらされながらも日々、闘っています。新型コロナの影響を受けながらも、高齢者の日常を守るため、真摯に向き合う介護現場の今。特別養護老人ホームひまわり・安城を取材しました。

気の抜けない日々が続く介護施設

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愛知県安城市にある特別養護老人ホームひまわり・安城。碧南市を拠点に病院や福祉施設を運営する愛生館グループが、2年前に開所しました。現在、要介護3以上の高齢者100人が入居しています。

ここでは、もう4か月以上、職員どうしの接触を最小限に抑えています。朝礼には代表者のみが出席し、固定のカメラで撮影、他のスタッフは別の部屋でそれを視聴します。さらに食事のときには、働くフロアごとに分かれて個別に食事を取る徹底ぶり。いまも気の抜けない日々が続いています。

一番大切なのは、入居者の安全

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入居者やその家族にも、できる限りの感染防止対策を行っています。そのひとつが面会制限です。施設長の野村勢津子さんは「不便を感じさせてしまったとしても、まずは入居者の安全を担保しなければならない」と語ります。

しかし、一方で「入居者がベランダに出て、外にいる家族と呼びかけあっている姿を見たときは悲しかった」と、悩みも。そのような状況を受け、家族と入居者が、別々の部屋からタブレット端末を使って談話できるなどの工夫も行っています。それでも家族と会えなくなってしまったこの期間に、体調を崩してしまった入居者もいたそうです。

高齢者の娯楽をどう守るか

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出入りしなくなったのは、家族だけではありません。ひまわりでは、これまで行っていた講座や演奏会などのボランティアの受け入れもすべて断っています。その影響で入居者の貴重な娯楽の機会は激減しました。事務部長の小林洋平さんは「外からの刺激がなくなると認知症が進むこともあるし、活動量が減って身体が衰える人もいる」と危惧します。

そこで、「コロナ禍でも変わらず日常生活を楽しんでほしい」と職員一同で知恵を絞りました。

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まず、施設で育てている桑の実を活用しました。イベントを企画した職員は、「桑の実を収穫してジャムを作り、最後はヨーグルトにかけて食べました。収穫や、実をつぶしながら煮ることで、手先などの運動にもなりました」と話します。

また、別の日には、近くのれんげ畑に散歩に出かけました。なるべく多くの入居者に外に出てもらおうと3日間にわたり開催。「入居者を車いすに乗せて移動するため大変でしたが、少しでも入居者に楽しんでもらう時間を作ろうと意識して動きました」と職員は話します。

それぞれの立場で今できること

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ひまわりでは、異なる職種の職員がそれぞれの立場で今できることを考え、実行しています。看護師の石川奈美枝さんは、入居者が外に出ると感染につながる恐れがあると、病院に行く機会を減らせるよう努めました。体調の変化があったとき、病院で受診する必要があるかどうかを慎重に判断。通院のために外出する回数は大幅に減ったということです。

また、職員は入居者を元気づけるためのアイデアを考え続けています。事務部長の小林さんは「コロナ禍であらためて入居者のために何ができるのかを絶えず考えなければならないことに気づけた」と話します。

コロナ禍でも変わらず続ける取り組み

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コロナ禍でも続けると決めている取り組みもあります。アドバンス・ケア・プランニング、「人生会議」とも呼ばれる取り組みです。終末期に向け、今後の医療や介護の方針を入居者の家族と話し合います。

「入居者が本当に危険な状態に陥ったとき、この先をどうするかを家族に決めてもらわなければならない」。だからこそ、このような状況でも、最期が近いと思われる入居者の家族には話し合いへの参加を呼びかけています。「使命感ですね。入居者・家族がどういった最期にしたいのかを叶えてあげたい」と看護師の石川さんは言いました。

高齢者の日常を守るために...

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ひまわりでは新たな面会方法も始まっています。大きなアクリルの板越しでの面会です。「Webカメラでは見えなかった表情のシワまで見えるのでありがたい」と入居者の家族は施設職員への感謝を口にします。

24時間、命に接する介護の現場。あるときは工夫を凝らし、あるときは「変えない」勇気をもって、介護施設の職員は日々できることを模索します。「行動一つひとつが安心・安全の担保に繋がるような考え方をしていきたい」と話す野村施設長。きょうもひまわりでは、入居者、そして自分の役割に向き合い続けています。高齢者の「日常」を守るために。

(取材・撮影:堀めぐみ/文:石川玲子/2020年7月取材)

特別養護老人ホームひまわり・安城

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碧南市を拠点に病院や福祉施設を運営する愛生館グループが運営する特別養護老人ホーム

場所:愛知県安城市福釜町下山81-1

TEL:0566-92-0088

HP:「特別養護老人ホームひまわり・安城」ホームページ

「シリーズ・コロナ禍をこの地域で生きる」は、キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ・ コロナ禍をこの地域で生きる」では、医療・教育、企業などに従事するこの地域の人々の声から、コロナ禍の時代をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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