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特集

Vol.28「町工場IoT革命!旭鉄工(碧南市)がコロナ禍を越えて目指すもの」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

コロナ禍で様々な業種が大きな影響を受けるなか、愛知県内の製造業の売上は2020年の4月から6月に最大の落ち込みを迎え、その後は回復傾向となってきているものの、まだ先の見えない状況が続いています。

そんななか、愛知県碧南市にある部品製造会社「旭鉄工」では、IoTを活用した改善活動で、年間1億円以上の労務費削減を達成するなど、いま大きな注目を集めています。コロナ禍に負けないIoT革命とは?その実態に迫ります。

モノがインターネットにつながる

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碧南市にある部品製造会社「旭鉄工」は、創業80年を迎える製造業を軸にした町工場です。この旭鉄工が、いまIoTを活用した改善活動で全国から注目されています。

IoTとは、インターネット・オブ・シングスの略で、モノのインターネットと訳されます。つまりモノがインターネット経由で通信をすることを意味します。このIoTを使って工場を改善していこうというのが旭鉄工が行った取り組みでした。工場の製造ラインに取り付けられたセンサーからデータがパソコンに送られ、生産ラインを遠隔でモニタリング、無駄をなくし効率化を図ったのです。

IoTで改善のスピードアップ。競争力をつける

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この活動の陣頭指揮を執るのは旭鉄工の木村哲也代表取締役社長。木村社長に、この活動をはじめたきっかけを聞いてみました。

「改善をスピードアップしたいと思ったのがはじまりです。生産性をあげて、競争力をつけるという目的でしたが、それを考えたときに一番大変なのは、工場の稼働状況のデータをとることでした。これまでは、人をはりつけて調べなければなりませんでしたが、IoT技術を活用することで自動化しようと考えました。」木村社長曰く、機械的なデータの測定を自動で行うことで、見えてきた問題を解決するという付加価値の高い部分に人をつけることができたということです。

工場の見える化が、効果的な改善につながる

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実際に旭鉄工で使用している製造ラインモニタリングシステム(iXacs)を紹介してもらいました。事務室の壁に並んだモニターには、旭鉄工の本社工場と西尾工場の稼働状況が全ライン表示されています。

各機械の状況が色で示され、青が通常稼働、オレンジは異常停止というように一目で分かるようになっていました。その日の生産数の目標値や達成状況なども表示され、進みや遅れもその場にいながら知ることができます。

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また、旭鉄工では、それぞれの生産ラインごとに毎月20件程度の改善提案が出てきます。

西尾工場の機械製造部に勤める廣瀬竜二さんは、担当するマシンの動きを0.5秒ほど短くすることに成功したと話してくれました。部品を一つ製造する時間が0.5秒短くなるだけでも、結果として大きな改善につながるといいます。

他社にノウハウを伝えるために

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木村社長は、このような改善ノウハウは他の会社でも通用すると確信し、新会社「i Smart Technologies(アイ・スマート・テクノロジーズ)」を設立しました。

「苦労したのはIoTのシステムそのものよりもシステムをつくったあとに、いかに使ってもらうかです。システムを導入して終わりではなく、高いモチベーションを維持したまま、システムを使用して改善活動をしてもらうように工夫しています」と木村社長は語ります。

ノウハウを取り入れた会社での成果は?

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このノウハウを取り入れている会社が旭鉄工の近くにあります。西尾市でプラスチック製品を製造する株式会社ヒットです。こちらでは「i Smart Technologies」の遠隔モニタリングシステムを試験導入。システムにかける期待も大きいといいます。

株式会社ヒットの担当者は「これまでも改善について話はしてはいたものの、やはりデータに基づいた話ができていない現状がありました」と語ります。しかし、システム導入後データに基づいた話ができ、改善案にリアリティが出たそうです。また、今後について「データをお互いのコミュニケーションの一つとして使っていきたいと思います」と話してくれました。

日本の製造業をもっと強くしたい

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さらにコロナ禍に負けない強い会社にするため、旭鉄工では新しい取り組みを始めています。それが、オンラインセミナーやWeb上での工場見学の開催です。

木村社長は「IoTシステムなどを活用した事例を知ってもらうために、直接話をすることができない現状がありましたので、オンラインセミナーを実施しました。また、これまでは世界中からあった工場見学の依頼を、現在ではWeb上で開催しようと動いています。すべては、IoTを活用した改善活動を多くの人たちに知ってもらうためです」と語ります。

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町工場にIoTを取り入れ、独自の改善を発展させてきた旭鉄工。その経営の先には一体何があるのでしょうか。

木村社長は今後について「我々のような大きな改善事例を実現できる会社をどんどん増やしていきたい。そうすることで日本の製造業をもっと強くしていく、その役に立ちたいと思っています」と大きな目標を語ってくれました。

(取材・撮影:モーション・ビジュアル・ジャパン/文:石川玲子/2021年1月取材)

旭鉄工株式会社

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1941年創業。エンジン・トランスミッション部品など幅広い製品を製造。

場所:愛知県碧南市中山町7丁目26番地

電話:0566-41-2350(平日 9:00~16:00 / 土日祝日除く)

旭鉄工株式会社ホームページ

i Smart Technologies

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IoTモニタリングサービスの導入や、旭鉄工で培ったノウハウで改善に必要な知識や活動の仕方のコンサルティングなどを行う。

場所:愛知県碧南市中山町7丁目26番地

電話:0566-93-5100(平日 9:00~18:00 / 土日祝日除く)

i Smart Technologiesホームページ

「シリーズ・コロナ禍をこの地域で生きる」は、キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ・ コロナ禍をこの地域で生きる」では、医療・教育、企業などに従事するこの地域の人々の声から、コロナ禍の時代をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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