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特集

Vol.51「不足を数えず感謝に生きる~西尾・盛華堂のみたらし団子~」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

新型コロナの影響で変わった働き方や、ライフスタイル、コミュニケーションのあり方。目まぐるしく日常が変化する一方で、変わらぬものを求める人たちもいます。

愛知県西尾市吉良町にある団子屋「盛華堂」には、長年変わらぬ味のみたらし団子を求め、コロナ禍でも多くのお客さんが訪れます。店を一人で切り盛りするのは92歳の牧敏子さん。敏子おばあちゃんと親しまれ、約70年間、店に立ち続けています。今回は、変化する時代のなか変わらず在り続ける盛華堂の日常を覗きました。

愛される敏子おばあちゃんのみたらし団子

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西尾市の吉良吉田駅近くの住宅街にひっそりとたたずむ団子屋「盛華堂」。店内に並ぶ和菓子はすべて敏子おばあちゃんの手作りです。そのなかでも1日200本以上作るというみたらし団子は、出来立てはもちろん、冷めても美味しいと評判で、長年変わらない味を求め毎日多くの人が訪れます。

店を訪れた人に話を聞くと、「みたらし団子はここしか考えられない」、「あるのが当たり前という場所です」など、変わらぬ味と場所がいまでも地域の人に愛されているのが伝わってきました。敏子おばあちゃんも「団子を買いに来ましたという声が嬉しい」と、訪れる人たちの声から力をもらっているようです。

穏やかで優しい時間を求めて

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長年地域で愛されている盛華堂では、ここ最近ある変化があるといいます。それは初めて店を訪れる人が増えているということです。

この日も、「Googleで調べたらここがおいしいと評判だったので半田市から初めて来ました」、「いつも店の前の道を通りかかっていて、みたらし団子と書いてあるのが気になっていたんです。それで食べてみたいなと思って初めてきました」など、理由は様々ですが、 手作りのみたらし団子、そして店内で過ごす穏やかで優しい時間を求めて新たなお客が増えているということです。

店に立ち続けて70年

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敏子おばあちゃんが、初めて店に立ったのは約70年前、嫁いで間もない20代の時でした。「嫁いですぐは義父と義母の3人で店をやっていて、夫は会社に勤めていました。その後、主人が37歳で亡くなり、3年後には義父も交通事故で亡くなりました。そこからは一人でやっていくしかなく...、本当に大変でした」。

若くして夫と創業者でもある義理の父を亡くされて以降、一人でお店を守り続けてきた敏子おばあちゃん。みたらし団子もはじめはあまり売れなかったそうですが、長年店を続けるなかで、いまでは市外・県外からもお客さんが来てくれるようになったといいます。

不足を数えず感謝に生きる

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そんな盛華堂の店内の至る所には、敏子おばあちゃんが日々感じたことを書いた様々な言葉が貼られています。そのなかの一つ「不足を数えず感謝に生きる」は、若くして夫を亡くし、ひとりで子育てとお店を切り盛りするなかで感じた言葉だといいます。

「みなさんがこの言葉をみて『なるほどね』と言います。団子をつくりながら思った言葉で、亡くなった家族のためにも不足ばかり言うより、感謝の言葉にかえてきました」と話す敏子おばあちゃん。

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そして、この言葉は長引くコロナ禍でもいえることだと話します。

「不足ばかりを言っていてはいけない時代だから、こんな時こそ感謝の気持ちを忘れてはいけないと思います。私がここまでお店を続けてこられたのも、皆さんの『おいしい』という言葉に励まされたからです、だからお客さんのおかげですね。」

盛華堂で団子が焼きあがるのを待つ時間は、そんな敏子おばあちゃんが書いた人生の教訓を学ぶ時間にもなっているのです。

いつまでも変わらないほっと一息つける場所

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感謝しているのは盛華堂を訪れる人たちも同じです。こんな時代だからこそ、お客さんたちはいつまでも変わらない、ほっと一息つける場所を求めています。

幼少期から盛華堂に通っているという永井考介さんは「敏子さんが余裕のあるときに、一緒にお茶を飲んだり世間話をしたりして、安心して過ごせる店があるということが本当に嬉しいです。コロナが収まったらもっとお客さんにきてほしいですし、やっぱり地域の皆さんが来られる場所があることがうれしいですね」と話します。

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さらに盛華堂のみたらし団子は周辺地域の保育園のおやつとしても親しまれています。園児のために、おやつの直前に団子を焼き、出来立てを用意しているとのこと。こうして敏子おばあちゃんのみたらし団子は、子どもからお年寄りまで地域の人たちに親しまれているのです。

目まぐるしく日常が変化するいま、変わらぬ味と場所を守り続ける盛華堂。「与えられた命、精一杯生きよう。精一杯働こう。」と、きょうも敏子おばあちゃんは、お客さんのためにみたらし団子を焼いています。(取材・撮影:上西将寛/文:石川玲子 2021年10月取材)

盛華堂

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敏子おばあちゃん手作りのみたらし団子(1本80円)を求めて、県内外から多くの人が訪れる団子屋。鬼まんじゅうや草餅など季節にあわせた和菓子もおすすめです!

住所:愛知県西尾市吉良町吉田亥改34
電話:0563-32-0157
営業時間:8:00~18:00 ※時期により変更あり
休み:月曜

盛華堂 アクセスマップ

「シリーズ・コロナ禍をこの地域で生きる」は、キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ・ コロナ禍をこの地域で生きる」では、医療・教育、企業などに従事するこの地域の人々の声から、コロナ禍の時代をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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