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特集

Vol.52「SNSで始まる新たな繋がり 特別養護老人ホームいちご(西尾市)」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

愛知県西尾市にある特別養護老人ホーム「いちご」。ここにはショートステイの利用者を含め約100人が生活しています。利用者のほとんどが80代。新型コロナ拡大以降、楽しみにしていたお散歩なども中止になり、コロナ収束まで、様々な制限が続いています。

そんななか、いちごがインスタグラムを通じて投稿する写真には、お年寄りの楽しげな笑顔で溢れています。フォロワーの数は2021年10月時点でなんと2万6000人以上、お年寄りの笑顔が様々な人に元気を与えています。今回は特別養護老人ホームいちごがSNSを通じて伝える笑顔と、そこから始まる新たな繋がりを取材しました。

インスタグラムを通して伝えたかったこと

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西尾市市子町にある特別養護老人ホームいちごは、入所やショートステイ、デイサービスなど地域の高齢者に向けて様々なサービスを提供しています。そんないちごが発信するインスタグラムのフォロワーは2021年10月時点で2万6000人以上、投稿するのは利用者の日常の姿から楽しそうな笑顔、職員とのコミュニケーションの様子などの写真や動画。毎回投稿すると全国から「いいね!」や多数のコメントが寄せられます。

SNSでの投稿をはじめたのは2017年。人気のきっかけになったのは、日常のなにげない風景だといいます。その動画がスタッフの髪の毛をクシでやさしくとかすおばあちゃんとの様子です。そしてこの動画に添えられたコメントは「この仕事を選んでよかった」。それは、いちごがインスタグラムを始めた理由でもありました。

施設長の中島良彦さんは、「高齢者施設などで働く楽しさや、やりがいを伝えたいと思ったのが始めた理由です。実際に投稿するなかで『またやりたい』とか、経験のない方からも『やってみたい』というコメントがもらえるようになり嬉しく思います」と話してくれました。

信頼のなかで生まれる自然な笑顔

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日々、名前など個人情報に注意しながら投稿されるいちごのインスタグラム。そこには利用者の素敵な笑顔があふれています。

一方で新型コロナ拡大以降、施設では散歩や行事の中止、家族との面会制限など感染防止のために様々な対応を迫られました。沈みがちな毎日の中で、みなさんの満面の笑顔をどのように撮っているのかを伺うと、「ほとんどが日常の風景です。おやつの時間が多いですね。日頃の様子をみなさんに見ていただければと思って写真を撮っています」と中島さん。

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実際におやつの時間にお邪魔させてもらうと、利用者10人1グループをいつも決まった職員が対応していました。そして、おやつの時間は職員・利用者が一緒になって準備します。職員の菊池祥さんに話を聞くと、「きょうの『あんドーナツ』は、利用者の希望を聞いて決めました。簡単な作業は手伝ってもらい、匂いから楽しんでもらっています」と教えてくれました。

その後、おやつを食べ始めると撮影会が始まります。そこにはおいしそうにおやつを頬張る利用者の姿が。菊地さん曰く笑顔を引き出すコツは、「日頃から一緒にいるため、その信頼関係が自然な笑顔に繋がっているのだと思います」とのこと。

SNSから始まる新たな繋がり

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さらに、いちごのインスタグラムの投稿は、様々な効果を生み出しました。真っ先に反応があったのは、コロナ禍で面会がおもうように出来なくなった利用者の家族からでした。「こういう形で、おばあちゃんの日常の姿を見られて安心です。普段の様子が分るので、私も落ち着いて日常生活を送れます」と、利用者の家族は話します。

また、インスタグラムに時折寄せられる「厳しいコメント」は、職員が利用者への接し方を見直すきっかけになっているといいます。「利用者の身だしなみや髪型などにより気を配るようになりました」と菊池さん。職員一人ひとりの意識が高まり良い相乗効果を生んでいるようです。

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たくさんの人たちからの応援と、職員のモチベーションにも繋がっている「いちご」のインスタグラム。フォロワーが増えたことで、地域にも大きな反響があり、地元の洋菓子店など企業や団体との新たな繋がりが生まれ、利用者の人たちに楽しい時間がを供できるようにもなったと言います。

施設長の中島さんは、「利用者のみなさんの笑顔が新たな繋がりも生み、結果として地域貢献につながっているなと感じ、嬉しいです」と笑顔を見せます。

SNSからはじまる新たな繋がり。きょうも特別養護老人ホームいちごは笑顔でいっぱいです。(取材・撮影:シークラウド映像舎/文:石川玲子 2021年10月取材)

特別養護老人ホーム いちご

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「シリーズ・コロナ禍をこの地域で生きる」は、キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ・ コロナ禍をこの地域で生きる」では、医療・教育、企業などに従事するこの地域の人々の声から、コロナ禍の時代をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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