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特集

Vol.53「誰もが活躍できる環境づくりを。障害者テレワーク雇用のいま」シリーズ コロナ禍をこの地域で生きる

新型コロナの影響で人々の働き方が変化し、「テレワーク」という働き方が定着してきたなか、愛知県安城市では「障害者テレワーク雇用」という取り組みが進められています。

障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる社会をめざすこの取り組み。今回は実際に推進している安城市の企業を取材しました。

障害者雇用のいま

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障害者雇用を促進するため、民間企業などの事業主に義務づけられる法定雇用率。従業員数が43.5人を超える民間企業は、2.3%の障害者雇用を行う義務があります。

そんななか、愛知県の民間企業の障害者雇用率は、直近のデータで2.08%。雇用数、雇用率ともに増加傾向にはあるものの、法定雇用率を下回っています。

ハローワーク刈谷の坪井孝一所長は現在の状況について「障害者雇用というのは、やはり非常に難しいものです。はじめて雇用する企業も多いので『支援します』と声をかけていくしかありません」と話します。

安城市が進める障害者テレワーク雇用

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こうした状況下で、障がい者をテレワーカーとして雇用する取り組みが安城市で進められています。2020年3月、安城市は障がい者のテレワーク雇用サービスを展開する東京都の企業「株式会社D&I」と協定を締結。D&Iのノウハウを活用し、市内の障がい者や企業に対するサポート体制を強化する狙いです。

安城市障害福祉課の松村誠課長に協定を結んだ背景について伺うと「新しい働き方の導入を進めることで、障がい者の方も働く機会が増えるのではないかと思い協定を結びました。テレワークなら自宅など慣れた場所で働くことができます。これは障がい者にとっては有効な手段だと思います」と話してくれました。

障害者テレワーク雇用を実現させた企業も

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この協定をきっかけに、「障害者テレワーク雇用」を実現させた企業があります。安城市に拠点を置く、新英ホールディングスです。新英ホールディングスは80年以上続く、総合リサイクル企業グループで、障害者テレワーク雇用の必要性を感じ、導入に至ったといいます。

新英ホールディングスの小澤研太郎さんは、「安城市から話を持ちかけてもらったのがきっかけです。私達にとっても一緒に働く新しい仲間をどうやって見つけていくかが課題だったので、安城市と一緒に仲間を探してみることにしました」と話します。

実際に働く人の声は...

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こうしてテレワーカーとして新英ホールディングスで働くことになったのは、10年ほど前に双極性障害と診断されたAさんです。双極性障害とは躁うつ病とも呼ばれ、気分の高揚と落ち込みが繰り返される精神疾患です。Aさんは、通勤への不安から、テレワークという働き方を選んだといいます。

Aさんが担当するのは、エクセルを使ったデータの入力作業です。入社から1年が経つ中で、徐々にペースをつかみ、精神的にも安定しているといいます。

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現在の働き方についてAさんは、「テレワークという形になったので心にゆとりをもって生活できていると思います」と語ります。

さらに「入社前はやってみないと分らない部分もあって不安もあったのですが、一緒に働く仲間が分りやすく指導してくれたり、気にかけてくれたりするので、とても助かっています」と。安心できる環境で働けることに喜びも感じているようです。

安心して働ける環境づくりを

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新英ホールディングスの住山正さんは、障害者テレワークに雇用について「働く人が安心して働け、会社にとっては『任せてよかった』と思える体制づくりが必要」と話します。

実際に会社でのAさんとのコミュニケーションは、D&Iが提供するソフトで行われています。日々の仕事の進み具合や、体調、薬の服用状況などを見える化したシステム。もしもAさんの体調に変化があった時は、専門的なアドバイスを受け対応でき、業務の進捗なども細かく見ることができるそうです。

「他の社員にも手伝ってもらい今の体制ができました」と住山さん。新英ホールディングスでは会社全体で取り組んできました。

誰もが活躍できる社会をめざして

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さらにAさんは、これまで行ってきた業務が慣れてきたこともあり、今後は「データ分析業務」などの新たな仕事にもチャレンジしていくといいます。

テレワーカーとして徐々に仕事の幅を広げていることについてAさんは、「私でもできることがあったらチャレンジしていきたいので、任された仕事は頑張ってやりたいなと思っています。何かあったらすぐにチャットなどで声をかけてくれたり、電話をしてくれたりするので助かっています」と前向きな気持ちを語ってくれました。

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新英ホールディングスの小澤さんは今後について、「こういう新しい流れというのは一つの企業だけでなく様々な企業が取り組んではじめて大きな流れになっていくものですから、弊社としてはそれに貢献したいという思いがあります。今後、コミュニティが感じている課題を企業としてどう一緒に解決していくかということが、より一層大切になっていくと思います。だからこそ、障害者テレワーク雇用の取り組みがより広がっていってほしいです」

障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる社会をめざして。この地域の「障害者テレワーク雇用」の取り組みは、まだ始まったばかりです。(取材・撮影:松田憲道/文:石川玲子 2021年10月取材)

新英ホールディングス株式会社

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住所:安城市住吉町2丁目1番1号
電話:0566-98-2211
新英ホールディングス 公式Webサイト

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番組名:特集「地域の今」

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詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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