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特集

Vol.3「暮らし変革!ナゼロ(刈谷市)が提案するこれからの家具とは?」シリーズ コロナ後の地域を考える

コロナ禍で一変した私たちの生活。人が集まる場所でパーソナルスペースを保つ事は、もはやコロナ禍での常識となりました。そんな中、いま全国の医療・福祉施設から注目される家具を作っているのが、愛知県刈谷市に本社を置くナゼロ株式会社です。

今回は、安全性・機能性、そしてデザインを追求するナゼロの家具から、これからの私たちの暮らしがどう変化していくかを考えます。

全国の医療・福祉施設から注目されるナゼロ

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愛知県刈谷市今川町に本社を置くナゼロ株式会社は、明治38年創業、戦時中は航空機の部品、戦後はその技術を活かしてパイプ椅子の製造を手がけてきました。

いまナゼロの家具が全国の医療・福祉施設からなぜ注目されているのかについて近藤一幸代表取締役に伺うと、「私たちが元々やっていたのは、一人一人の患者さんやスタッフが使いやすいものです。だから、椅子同士をくっつけたり、バラバラにしたりできるものも作っていたのですが、それがこのコロナ禍で注目されるようになりました。新しい需要に基づいて、考えて、作る。それが私たちのスタンスです」と、教えてくれました。

工夫が施されたナゼロの家具

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そんなナゼロが開発した家具には様々な工夫が施されています。3人掛けの椅子「ピジョン・ロビーチェア」は、椅子と椅子とをワンタッチで簡単に取り外すことが可能で、一人掛けの椅子としても使用することができます。

この椅子を開発した企画開発部の岩野英明さんは、「この椅子は病院などのロビーで使われる連結タイプの椅子です。簡単に取り外せるので、長椅子の真ん中にわざわざ『座らないで』という紙を貼ることなく、さらに椅子のスペースも無駄になりません」と、その魅力を語ってくれました。

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また、サイドに高い壁のある「オアシス」という椅子も人気だといいます。オアシスは人の目線に合わせたパネルを付けることが可能です。開発当初は病院の待合室などでパーソナルスペースを作るための椅子だったということですが、新型コロナの感染拡大以降、飛沫感染を防ぐ目的などでも使用されています。

さらにこの椅子に使われている素材は、アルコール系・次亜塩素酸ナトリウム系消毒剤に対応した耐久性のあるビニールレザー。アルコール消毒をしても劣化しにくいということです。このような工夫が施された家具の開発以降、全国の医療機関を中心に導入が進み、売り上げは2割増加しました。

医療現場の声から生まれた椅子が転機をもたらす

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多くの特許も取得し、家具職人の高い技術力に裏打ちされたナゼロのオリジナル家具。そんな家具の開発のきっかけは20年以上前に近藤さんに舞い込んできた、一件の相談だったといいます。

「ある病院の先生から依頼を受け作ったのがこちらのスリーパーチェアです。一見普通の椅子に見えますが、付き添いの人が休めるようベッドのような形に変えることができます。デザインのこだわりと、付き添いの人が休めるという機能、これらはセットなのだと確信しました」と話す近藤さん。

この椅子が高い評価を受け、ナゼロは「健康デザイン」をテーマに掲げ、家具の製造に力を入れる事になったといいます。

すべてはお客さんのために

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「健康デザイン」をテーマにした開発プロジェクトが重視するのは現場の声です。企画開発会議では、開発中の椅子の使い心地について意見が交わされます。

「自分たちだけが完璧と思っても独りよがりになってしまう。お客さんが実際に使う中での声を反映し完成させていきます」と話すのは企画開発部の岩野さん。

会議で上がったイメージは工房の職人が形にしていきます。張り職人の木原圭亮さんはナゼロの家具について「安心安全に使えるようにしたいです。要求が難しくてくじけそうになるときもありますが、私たちも技術者なので、それを実現させることにやりがいを感じます」と、教えてくれました。

デザインと機能を合わせ持つ家具

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2022年1月に西尾市徳次町に開所した特別養護老人ホーム「とくつぎ」。こちらでは、ロビーなどの共用スペースにナゼロの家具を導入しています。

とくつぎのスタッフ、飯塚雅幸さんに導入された家具の感想を伺うと、「コロナ禍ということもあるので、消毒のしやすい素材の椅子を求めました。家具は色々あるのですが、利用者が安心して座れる椅子や、スタッフが扱いやすい家具は非常にありがたいです」と、話してくれました。

コロナ禍を経て、社会のスタンダードに

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最後に近藤さんが家具作りの原点と話す椅子について話してくれました。

「ドイツ・ケルンの見本市に出ていた、ロン・アラッド氏が1994年に作ったステンレス・ヨーロッパNo.5という椅子です。これはアートとデザインと機能をもった椅子だと思いました。どういう場所でどういう人が使う椅子かを常に考えるのが大切だと教えてくれます。いままさに当社が進めているような空間や衛生を意識した家具はアフターコロナでも定着していくと考えています。」

20年前から「健康デザイン」を掲げてきた家具メーカーの取り組みはコロナ禍を経て今、社会のスタンダードになろうとしています。(取材・撮影:シークラウド映像舎/文:石川玲子/2022年5月取材)

ナゼロ株式会社

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パブリックスペースに対応した家具、災害時に役立つイス、病院や高齢者・福祉施設に向けた家具の製造販売を行う。

場所:愛知県刈谷市今川町花池53

電話:0566-36-1321

「ナゼロ株式会社ホームページ」公式ホームページ

「シリーズ・コロナ後の地域を考える」は
キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ コロナ後の地域を考える」では、この地域の人々の声から、アフターコロナを見据えたこの先の未来をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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