micro_ichiranyou_dai2.jpg
特集

Vol.4「市民団体 活動の原点を見つめて」シリーズ コロナ後の地域を考える

3年ぶりに行動制限がなかった大型連休により、各地大勢の人出で賑わった2022年5月。新型コロナによる生活環境の変化などに私たちも慣れてきましたが、その一方でいまだ影響を受け続けているのが、数多くある市民団体の活動です。

今回は、自分たちの活動と感染症対策との間で揺れ続けながらも、未来を見据え活動する市民団体のいまを取材しました。

20年以上続く合唱団のいまは...

feature78_01.jpg

愛知県知立市にある文化施設「パティオ池鯉鮒」には、20年以上活動を続けている合唱団があります。その名も「パティオ・シアター合唱団」です。パティオ・シアター合唱団は、2000年にパティオ池鯉鮒の市民講座としてスタートし、結成当初は多くのメンバーが合唱未経験者でしたが、講座を通じて練習を重ね、現在も週に一度ホールを貸し切り、練習を行っています。

この合唱団の魅力はオーケストラの演奏に合わせ披露されるコンサートで、毎年、定期演奏会などでは、オーケストラの演奏に合わせて、歌声が会場に響き渡っていました。しかしコロナの影響で、2年以上その歌声を披露する機会が失われています。

feature78_02.jpg

パティオ・シアター合唱団の姫野和浩団長に現在の状況を伺うと、「コロナが流行りだした当初、合唱団でクラスターが発生するケースが全国でありました。その影響で『怖いのでしばらく休団させてほしい』などの声が相次ぎ、団員が減ってしまいました。団員が減ると公演もできなくなってしまうため、行き詰まっている状態です」と、活動への影響を話してくれました。

多い時には100人以上の団員がいた合唱団ですが、現在は約30人に。団員たちは活動を続けていくことに危機感を募らせています。

feature78_03.jpg

団員に話を聞くと、「練習は休んでしまうと声が元に戻ってしまうんです。そういう意味でこの2年はとても苦しかったです(旭由紀子さん)」や、「本当はマスクを外してのびのびと歌いたいと思うんですが、この時期は仕方ないですね(岩本伸夫さん)」と、寂しそうな表情を見せます。

みんなで合唱を披露するために

feature78_04.jpg

それでもパティオ・シアター合唱団では、この2年半もの間、現在いる団員でできることをと、毎週の練習を試行錯誤しながら続けてきました。

「コロナで休団した方に戻ってきてもらうため、また新しい方にも参加してもらうために続けています。一旦活動をやめてしまうと、そういった場も設けられなくなるので、細々でもいいから練習を続けていくのは大事かなと思ってやっています」と語る姫野団長。

練習では、歩みを止めず、一から合唱をやっていこうという想いから、「出発(詩:山崎佳代子/曲:松下耕)」という曲を歌っているそうです。

feature78_05.jpg

練習に参加している団員のなかには、「ここに来るとみんなで歌えるから楽しい(井上典子さん)」、「自分の生きがいが持てる場所がここだと思う(徳永太明さん)」と嬉しそうに語ってくれる人もいました。コロナ後を見つめて、パティオ・シアター合唱団は、歌声を観客に届ける日のためにきょうも練習を続けています。

名鉄西尾・蒲郡線を応援する団体のいまは...

feature78_06.jpg

一方、コロナ禍の先の見えない状況下でも、動き続けてきた市民団体があります。西尾市で活動する「鉄研実行委員会」です。鉄研実行委員会は、廃線が危惧されている名鉄西尾・蒲郡線、通称「にしがま線」を応援するイベントを開催するために2014年に結成されました。現在メンバーは23人で、毎年さまざまなイベントを考え、開催してきました。

しかし、新型コロナの影響で2020年はイベントが中止に。一時はメンバーのモチベーションも下がったといいます。

feature78_07.jpg

それでも、いまできることは何かと考えた結果、あらためてにしがま線周辺の地域の魅力を再発見しようとソロキャンプを行ったといいます。沿線でキャンプに適した場所を探し、試しに泊まってみるなど、試行錯誤。そして、東幡豆町にある愛知こどもの国のキャンプ場での実施に至りました。「地元にこんなに良い場所があるのだという再発見がありました」と話すのは、鉄研実行委員会の小笠原悟さん。

また、同じくメンバーの筒井潔さんは、かつて賑わっていた沿線の風景を絵で描いたり、沿線の海でSUPや釣りをしてみたりと、地域の新たな魅力を引き出そうと奮闘したといいます。その結果、あらためて地域の魅力を感じ、気づきを得ることができたそうです。

未来へ活動を繋ぐために活動を続ける

feature78_08.jpg

さらに鉄研実行委員会ではこの春から、新たに2人のメンバーが加わりました。そのうちの1人は大学生の朝比奈航希さんです。

高校時代、通学でにしがま線を利用していた朝比奈さん。車窓から見える様々な景色に魅了されたと言います。廃線によりこの光景がなくなってしまうかもしれないという危機感から、自分に何かできることはないかと考え、会に入ったといいます。

こうした地元への想いを共有する若いメンバーの加入も鉄研実行委員会にとって、今後の活動をさらに広げるきっかけになりそうです。

feature78_09.jpg

今後の活動について鉄研の筒井さんは、「やめるということは簡単だけど、みんなで知恵を出し合って継続していくということに意味があるのではないかと思います。シビックプライド、昔で言う郷土愛というものを何かで表現したいと思っている人は多い。自分たちの気持ちが上手く表現できれば、市民団体は続いていくのではないかと思っています」と話します。

コロナによる制限や状況はさまざまでも、同じ想いを共有し活動する。それが市民団体にとって原点でもあり、最も大切なことかもしれません。未来へ繋ぐために、きょうも各地で市民団体の活動が続きます。(取材・撮影:上西将寛・小林奈々恵/文:石川玲子/2022年5月取材)

パティオ・シアター合唱団

feature78_10.jpg

2000年に会館したパティオ池鯉鮒で行われた市民講座をきっかけに誕生した合唱団。定期演奏会の開催、パティオ池鯉鮒主催による「パティオ・ニューイヤ-コンサート」への出演など、地域に根ざした文化活動を行っています。

団員は随時募集中!詳しくはホームページからお問い合わせください。

「パティオ・シアター合唱団」公式ホームページ

名鉄西尾・蒲郡線利用促進 鉄研実行委員会

feature78_11.jpg

2014年結成。名鉄西尾・蒲郡線 通称「にしがま線」を応援するための鉄道イベント「鉄研」を毎年開催しています。2022年は8月に幡豆地区で「鉄研」を開催予定。

会員は随時募集中!詳しくはホームページのメールからお問い合わせください。

「鉄研実行委員会」公式ホームページ

「シリーズ・コロナ後の地域を考える」は
キャッチの番組でも放送中!

feature01_06.jpg

番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ コロナ後の地域を考える」では、この地域の人々の声から、アフターコロナを見据えたこの先の未来をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

関連記事