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特集

Vol.12「進むプラスチック削減~ホテルとクリーニング店のいま~」シリーズ 未来へつなぐSDGsの輪

2022年4月に施行された「プラスチック資源循環法」。プラスチックの不必要な使用を避け、どうしても使用する必要がある場合は再生素材や再生可能な資源に切り換えるなど、資源の循環を進めていこうというものです。私たちの生活に身近なプラスチック製品ではどのように削減が進んでいるのでしょうか。

SDGsの17の目標のうち、12番の「つくる責任つかう責任」と14番の「海の豊かさを守ろう」に関連した、使い捨てプラスチックの削減に取り組むホテルとクリーニング店を取材しました。

施行された「プラスチック資源循環法」

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軽くて加工しやすく丈夫なことから幅広く利用されている「プラスチック」。その一方で、自然界で分解されにくく燃やすことで発生する温室効果ガスによる気候変動やマイクロプラスチックなどによる海洋生態系への影響などが懸念されています。

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」略して「プラスチック資源循環法」では、私たちの生活に身近な12品目のプラスチック製品が対象です。製造や販売などに関わる事業者に、プラスチックの削減やリサイクルを求め、消費者にライフスタイルの変革を促します。

法律をきっかけにアメニティを変更

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三河湾国定公園を一望できる愛知県西尾市吉良町の会員制リゾートホテル「三河湾リゾートリンクス」。こちらでは法律で削減対象となった歯ブラシやカミソリなど使い捨てのアメニティを提供していますが、6月から新たな取り組みを始めました。どんな取り組みをしているのかを、宿泊部マネージャーの林英二さんに聞いてみました。

「カミソリや歯ブラシは、バイオマスプラスチックのものに変えました。それ以外のアメニティに関しても、今まではお部屋に全てご用意していたものを、お客様に選んで使っていただくスタイルに変更させていただきました」

アメニティのスタイル変更に利用者の反応は...

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歯ブラシやカミソリといった部屋に備え付けのアメニティは、少しでも使い捨てプラスチックを削減できるように、もみ殻を35%配合した環境にやさしい製品に変更。ヘアブラシやくし、シャワーキャップなどはフロントに設置され、セルフサービスとしました。

この取り組みについて宿泊客に感想を聞いてみました。
「家に持って帰ってもあまり使わないですからね。使い捨てはもったいないですし再利用で良いのではないでしょうか

林さんは安心した表情を見せます。
「実際に始めてみると、お客様には意外と好意的に受け止めていただけているようです

コストも考えた持続可能な削減を

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また、ホテル内のレストランでは1年以上前から、ストローの素材をプラスチックから紙に変更。アメニティとストローで、これまでと比べ全体の20%にあたる年間2トンの使い捨てプラスチック削減を目指しています。しかし、課題はまだ残っているようです。

「バイオプラスチックのものとなると、やはり従来の物と比べ少し割高にはなっております。お客様によってはもう使わないよと言っていただける方もいらっしゃいますので、使われなかった分、購入をひかえてコストを抑えてやっていけたらと思っています」と林さん。

値引きでハンガーの再利用を促進する

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一方、愛知県西尾市徳永町にあるクリーニングの洗濯急便「はやしランドリー」。西尾市と碧南市を中心に、電話1本で1枚からでも回収を行うなど機動力の高い宅配サービスを行っています。こちらでは環境に配慮し、10年ほど前からプラスチックハンガーを利用者から回収。リサイクルする取り組みを進めてきましたが、回収量を増やすために方法を変えたといいます。はやしランドリーの林義保さんに、その方法を聞いてみました。

「プラスチックハンガーを引き取る際に、1本10円で値引きを行っています。実は、ハンガー自体が高価なため、再利用が進むことでコストとして助かっています」

法律の施行で変わった利用者の意識

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はやしランドリーで1年間に使用されるハンガーは、6,000本以上。そのうち、現在の回収率は30%ほどで、将来的には50%以上を目指しています。法律が施行されてから、利用者の意識に変化が出てきたと林さんは感じているようです。

実際の利用者の声を聞いてみました。
「プラスチックの問題ってずっと気にしていて、不必要なハンガーを引き取ってもらえるのはありがたいですし、さらに割引してもらえるのはうれしいです

回収したハンガーは、専用のネットに入れ、きれいに洗浄した後に再利用されています。

衣類カバーでもプラスチックを削減

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プラスチック削減の取り組みは、ハンガーだけでなくビニール製の衣類カバーでも行われています。例えば、ワイシャツを2枚1組で包装したり、制服やスーツなどを上下セットで包装したりしています。さらに、半分が不織布になっているものは、通気性が良く半年ほどの防カビ・防虫効果があり、長く使えるよう工夫されています。できるだけ使用を減らして削減していますが、まだまだ課題はあるようです。

「お客様のご家庭でもプラごみが増えていく傾向があるので、包装の会社にも回収する方法を考えて欲しいと思っています。包装をどう回収してどう利用するかが今後の課題です」と林さんは話します。

事業者と消費者でプラスチック削減を実現

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はやしランドリーでは、次の一手として海洋プラスチックごみを集めて作られたリユース可能なハンガーに切り換えることを検討しています。法律の施行はクリーニング業界のイメージを変える良い機会になっているのではないかと、林さんは考えています。

「再利用していることを利用者に伝えると活動を理解してもらえる。SDGsがブームで終わらずに、ずっと続いて欲しいと考えています

取り組みが進むプラスチックの削減。事業者だけでなく私たち消費者も使い捨てに対する意識を変えることが、持続可能な脱プラスチックを実現していくカギになりそうです。(取材・撮影:ビデオハウス/文:石川玲子/2022年6月取材)

三河湾リゾートリンクス

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三河湾国定公園を一望できる愛知県西尾市吉良町の会員制リゾートホテル。プラスチック削減のため、2022年6月からバイオマスプラスチックの歯ブラシやカミソリを使用。

住所:愛知県西尾市吉良町宮崎中道下15

電話:0563-32-3711

三河湾リゾートリンクス ホームページ

クリーニングの洗濯急便
(有)はやしランドリー

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西尾市と碧南市を中心に宅配サービスを行う。10年ほど前からプラスチックハンガーを回収してハンガーのリサイクルに取り組む。

住所:愛知県西尾市徳永町北屋敷1-1

電話:0563-59-6265

はやしランドリー ホームページ

「シリーズ・未来へつなぐSDGsの輪」は、
キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ 未来へつなぐSDGsの輪」では、この地域で広がっているSDGsの取り組みや、活動を紹介しています。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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