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特集

助け合うということ~地域のベトナム人を取材して~|シリーズ コロナ後の地域を考える Vol.7

外国人の人口が全国的に見ても多い愛知県。ここ10年で特に増えているのが、ベトナムの人たちです。新型コロナの影響で、地域社会が変わりゆく中、この地域に住んでいるベトナムの人たちは、どのように過ごしているでしょうか。

今回は、助け合うことで、コロナ禍をともに乗り越えている、知立市と西尾市にある二つの料理店と、そこに関わるベトナム人を取材しました。

地域社会が変わりゆく中、この地域に住むベトナムの人たち

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愛知県知立市。知立駅の北口をでると、ベトナム料理屋「HVFOOD」があります。オーナーのチン・ヴァン・ベトさんは、約20年前に来日し、現在は、ベトナムの食材をインターネットで販売している株式会社サン・ファン・ヴィエトの会長です。SNSでライブ販売をすれば約3万人が視聴し、1万件のコメントがつくほどの人気があります。

インターネット販売が事業の中心となっていたので、新型コロナによって飲食業界が大きな打撃を受けている中でも被害が少なかったそうです。「当然、レストランの売り上げは減ってしまいました。代わりに食品販売の方は売り上げが増えています。SNSなどのおかげですね」とチンさん。

SNSで見た同胞、ベトナム人の苦しみ

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仕事上頻繁にSNSをチェックしているチンさんは、日々更新されるベトナム人たちの苦しい声に心を痛めていました。「家族が3人いるけど、仕事がなくて苦しい」「コロナで休業になり、2ヶ月間仕事を休んでいる」などの声が寄せられています。

そこでチンさんは、2020年4月に、困っているベトナムの人たちへの食材支援を決心しました。最初は100人限定で支援する予定でしたが、コメント欄に書き込まれる苦しい事情に、100人が300人になり、どんどんうわさが広まっていきました。

苦しい人を助けるのに目的はない。ただ自分の心に従っただけ

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現在HVFOODの知立店で働いているツイさんは、4年前に日本にやってきました。11歳の娘と二人で来日しましたが、新型コロナで仕事を失い収入がなくなったところSNSでチンさんを紹介してもらいました。

チンさんは、「子どももいるのに仕事がない状態だったから、ここで働いてもらうことにしたんです。目的があるわけではありません。ただ自分の心に従っただけです。」それに対し、ツイさんは「とても苦しかったけど、苦しい時に寄り添ってくれて何でも相談できる人です」と信頼を寄せています。

チンさんは、食料の支援だけでなく、多くのベトナム人に仕事を与え、コロナ時代を共に乗り越えようとしていました。

西尾市ベトナム市場

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愛知県西尾市の深池町にはベトナム人のグエンさんのお店「ベトナム市場」があります。 最近、お店自慢のベトナムサンドイッチが人気で、順調に売れています。サンドイッチを初めて食べるという日本人客も「ベトナム料理は初めて食べるけどおいしいよ」と満足そうです。

もともと、ベトナムの食材だけを販売していましたが、新型コロナの影響で経営が苦しくなり、飲食店をはじめることにしました。しかし壁となったのが日本語です。母国語ではない言語で、販売の許可や、難しい日本語の書類を準備するのは、簡単なことではありませんでした。

日本人とのつながりで、コロナ禍を乗り越える

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そんなとき、いつも隣で助けてくれたのが、金子さんです。5年前グエンさんは、金子さんの会社で働いていましたが、子どもが生まれたことがきっかけで、食材販売店をはじめることになりました。他のベトナムの社員たちからも、お父さんのような存在だった金子さんの助けにより、グエンさんは、食品営業許可証や食品衛生士の資格を取得し、お店を開くことができました。

「難しかった日本語の申請書類から子どもの保育園の書類の作成まで、あらゆる方面で助けてくれました。本当に感謝しています。」とグエンさん。それに対して「まわりの人が嬉しいことをしたいだけ」と金子さんは言います。

助け、助けられる友達や家族の大切さ

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「ベトナムの美人さんが美味しいサンドイッチを作っている!」ということで、グエンさんのお店に、ベトナムの人が集まってきています。お店の中は活気で溢れていました。「初めまして」の人ともすぐに仲良くなり、友達になるのは、ベトナムの人たちの特徴だそうです。

新型コロナによって、地域に住む外国人たちも、多くのものを失いました。しかし、その苦しみの中だからこそ、見えるものがあります。コロナがなければ会うことのなかった縁や、助け、友達や家族の大切さです。今回、チンさんとグエンさんを取材しながら、コロナ禍を共に乗り越えるための大きなヒントを得たような気がします。(取材・撮影:金世俊/文:石川玲子/2022年6月取材)

HVFOOD

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知立駅の北口にある「HVFOOD」。2021年にオープンしたこちらのお店では、ベトナム人が作る本格ベトナム料理を楽しむことはもちろん、ベトナムの食品も買うことができます。

HVFOOD ホームページ

ベトナム市場

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西尾市深池町にある「ベトナム市場」。バインミーというベトナムサンドイッチが人気。ランチの時間には甘くて美味しいベトナムコーヒーも飲めます。一度入ってみたら愉快なベトナム人と交流ができるでしょう。

ベトナム市場 Facebook

「シリーズ・コロナ後の地域を考える」は、
キャッチの番組でも放送中!

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番組名:特集「地域の今」

地域で今起きていること、取り組み、人々の姿を深掘り。「シリーズ コロナ後の地域を考える」では、この地域の人々の声から、アフターコロナを見据えたこの先の未来をどう生きるのか、そのヒントを探ります。

詳しくは、KATCH番組紹介ページ・特集「地域の今」をご覧ください。

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