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防災

3.11に考える。わがまちに、巨大地震がきたらどうなる? 前編(食料の備蓄からはじめよう)

誰もが思い出す日、3月11日。たぶん多くの人が、まるでスペクタクル映画でも観ているかのように、信じられない思いで画面を見つめた日。だけど、だからこそ考えなくては。この国は、いつどこで地震が起こっても、不思議ではない国だから。

とくに、「いつ大地震がきてもおかしくない」そう言われ続けてきた、東海地方に住むみなさん。今回は、愛知県碧南市の南海トラフ巨大地震の被害想定などを元に防災について紹介します。ぜひ、お住まいのまちと照らし合わせて考えてみてください。

まずは、近い未来の現実としてとらえる

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3.11後、各地の自治体がこぞって南海トラフ巨大地震の被害予測を公表しました。筆者は、自身が住む碧南市の地図を見て思いました。「うわっ、真っ赤じゃん」(=液状化の危険度「極めて高い」が広範囲)とか、「うわっ、オレンジじゃん」(=市内ほぼ全域震度6強、最大で7)とか。愛知県西三河地域に住む多くの方も同じように思ったかと思います。しかし、ここで終わっていては、スペクタクル映画のまま。

なので、きいてみました。碧南市民で防災といえばこの人、神谷新聞店店主・神谷賢司さん。碧南防災ボランティア連絡会代表で、万一家族が倒壊家屋の下敷きになったらと、解体用重機の運転技能まで取得してしまった方!

被害想定、数字の意味をよく考える

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新潟県中越沖地震で設置された柏崎市内の避難所<出典:(財)消防防災科学センター 災害写真データベース>

「何か貰えると思って行くのですが、避難所は自力で何とかできる人は行っちゃいけない所なんですよ。情報を収集しに行くのは大事だけれど。」と神谷さんは言います。

碧南市の場合、市の指定避難所に入れる人数は、34か所合わせて10,900人(碧南市防災課Webページより算出。被害想定も見られます)。その被害想定によると、地震の揺れだけで7,000以上の建物が全半壊するとされています。そうした自宅を失った人だけでなく、ライフラインが断たれることで自宅での生活が困難になる要介護者やその付添いの家族、さらには病気の人などが優先されるべきで。東日本大震災の時、避難所に行っても満員で入れないケースもあったようです。

全員が「被災者」という状況

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東日本大震災で被災した大槌町役場。市役所も被災します。<出典:(財)消防防災科学センター 災害写真データベース>

一方、碧南市の被害想定では、被災直後の断水人口は100%の72,000人で、1週間後でも50,000人(69%)は蛇口をひねっても何も出てこない。「でも、待ってても水も食料も来ませんよ。テレビで被災翌日の炊き出し風景とか映りますけど、カメラも行けるところにしか行ってませんから。届かないところの方が圧倒的に多い。」と神谷さんは教えてくれました。

給水タンクも運搬車両も限りはあるし、冠水・液状化・建物倒壊が行く手を阻む。行政が対処しなきゃならないのは水・食料問題だけではないし、そもそも市の職員だってこの地域に住んでいるのだから、ほぼもれなく「被災者」となってしまうんです。

手早くできる「備え」の第一歩

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ローリングストックの一例。1ケース内の食材を2か月で食べる目安。

「自分と家族を守れない人が、他人の力をあてにするのがおかしいですね。自分は何も与えられないのに。」と神谷さん。できるならば、避難所に行かず自宅で生活を続ける「自宅避難」「在宅避難」が理想的。自分のためにも、他人のためにも。

しかし、災害への備えって、身構えてしまって手が出せないという人も多いようで。そんな中、手っ取り早いのは、食料の備蓄。そこで神谷さんが教えてくれたのが、「ローリングストック」です。普段から日持ちする食材をちょっと多めに買っておき、週1とか隔週とかで定期的に食べる。食べたら、買い足す。「レトルトも、ちょっと豪華なのをストックしておけば、食べるのが楽しみになるでしょ?」

「非常食の日」は意識づけの日

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いつもの米や小麦粉、乾麵に加え、調味料やご飯のお供。こういうストックも力を発揮します。

定期的にストック食材を食べる日、神谷さん曰く「非常食の日」。なるほど、主婦はラクできる日...かもしれません。南海トラフ巨大地震を想定すると、「1週間分以上」の備蓄が望ましいといわれています。

3人家族として×3食×7日=63食。それを全部レトルトなどで...というわけではなく、冷蔵庫周辺の買い置きなどから消費して、日持ちする米や乾麵との合わせ技も使えます。知識さえあれば。非常食の一般的なイメージは、「乾パン」や「缶詰」など。しかし、普段食べている日持ちするものやレトルト食品でも、大丈夫なんですね。

普段のお米も、非常食に

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カセットコンロ&ボンベは貴重な熱源!ちなみに、中日新聞販売店さんでおなじみのポリ袋は、ポリ袋調理に使える耐熱性だそうです。

飲料水が限られる中で威力を発揮してくれるのが、いわゆるポリ袋調理。鍋の中の袋を浮かべるお湯は、飲めない水でもいいわけですから。しかも、袋のまま食べると、鍋も皿も洗わなくていい!

神谷さんによると、お米は無洗米じゃなくてもOK。2枚重ねたポリ袋に1人前(米100gに水130cc)を入れ、空気を抜いて、沸騰した鍋のお湯に浮かべて30分。ただそれだけ。

普段から実践していれば、非常時にもできる

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米100gで作ると、このお茶碗には余りました。

白米と、神谷さんおすすめ「肉じゃが風シーチキンじゃが」。ご飯は、洗米せず浸水もせずで試しましたが、ちょっと硬いけど充分食べられます。浸水+蒸らしをすれば、きっとよりおいしい。

二重ポリ袋に小さめに切った野菜とシーチキン、調味料を入れて、空気を抜き、30分煮るだけ。神谷さんのレシピは白だしだけのシンプルな味付けですが、あいにく白だしを切らしていて...。醤油とみりんにだし調味料をちょっと加えた我流ながら、立派な一品!さらに、まだまだ肌寒い今の時期、知ってさえいれば、ポリ袋調理の時に同時に作れる被災時の「お役立ちアイテム」もあります。というところで、後編に続く。

後編では、ポリ袋調理以外にもある、様々なお役立ち情報について紹介しています。こちらも、ぜひご覧ください。

3.11に考える。わがまちに、巨大地震がきたらどうなる? 後編(被災時、快適に過ごすためにできること)

ちなみに、肉じゃが風シーチキンじゃがなど、神谷さん考案のレシピは、「碧南防災ボランティア連絡会」のwebページで公開されています。ご確認ください。

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