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ぐるめ

愛知の郷土料理「箱寿司」「押し寿司」徹底調査!牛乳パックを使ったお手軽レシピも紹介

「箱寿司」は、西三河地域や尾張地域を中心に、愛知県内全域に伝わる郷土料理。「押し寿司」とも呼ばれます。あまりに身近過ぎて、郷土料理だと気づいていない人も多いかも?

今回は、そんな「箱寿司」の実態を徹底調査!愛知県安城市の「箱ずし保存会」に取材した箱寿司のルーツや地域の特色に加え、木枠や型がなくても作れちゃうお手軽レシピもご紹介します。

「斜め配置」が愛知県の特色

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全国各地で見られる、四角い木枠を使って作られる「箱寿司(押し寿司)」。愛知県の箱寿司は、四角い木枠の中にすし飯をつめ、その上に具材をのせ、上から押して作ります。

西三河地域や尾張地域を中心に食べられている箱寿司は、アナゴや錦糸卵、しいたけなど複数の具材を斜めに配置しているのが特徴。切り分けて食べるとき、みんなが平等にさまざまな味を楽しめるようにという工夫なのだそう。

箱ずし保存会に聞く!西三河の箱寿司事情

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西三河地域の箱寿司事情をより深く調査すべく、「安城の食を考えるプロジェクト 箱ずし保存会」のミーティングに潜入!この地域の伝統的な食文化を守り、地域を盛り上げたいと、2015年に発足。「アイデア箱ずしコンクール」や「箱ずし教室」などを開き、郷土料理を通した食育活動にも取り組んでいます。

まずは具材について。現在でこそうなぎや牛肉、ツナ缶といった多種多様な具材をのせるようになった箱寿司ですが...「かつて、内陸にある安城市では、新鮮な魚介類が手に入りづらかった。たまご・かまぼこ・しいたけの3種がオーソドックスだったといわれていますね」。 対して、沿岸エリアの碧南市では、メジロ(三河弁でアナゴのこと)を煮たものが主流だったとか。

もとは贅沢品を使ったおもてなし料理

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箱寿司に不可欠な木枠は、一般的には1段におよそ2合のすし飯が入るサイズ。昔はお米も貴重品だったので、大量のすし飯を使って作る箱寿司はとても贅沢な料理でした。先に紹介した具材「たまご・かまぼこ・しいたけ」も、当時はどれも高級品!

そんな箱寿司がふるまわれる場面は、お祭りやお祝いなど大勢の人が集まるとき。木枠は5段ほどで1セットになっていて、重ねて使うと一気にたくさん作ることができます。

箱寿司の「箱」は今や貴重品!?

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しかしながら...「とにかく場所をとって困る」「箱寿司以外に用途がない」「そもそも箱寿司を作る機会がない」ということで、木枠を手放す家庭も多いとのこと。一方で、木枠を作る職人さんも減ってきています。新しい木枠を手に入れるのはもはや至難の業!?

話はそれますが、箱寿司と同じく、愛知県のご当地料理である「おこしもの」も同様の状況...。米粉を練って木型にはめ、蒸して作るおこしもの。ご存じない方は、落雁の型をイメージいただきたいのですが...この木型も、昔ながらの手彫りタイプは姿を消しつつあるのだとか。

タッパーや牛乳パックで代用OK

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でも大丈夫!専用の木枠がなくても、タッパーや牛乳パック、空き箱で代用することができます。今回は「西三河で定番の箱寿司」と、断面も華やかな「エビの箱寿司」の2種類を作ってみました。

■「定番の箱寿司」材料(14cm×20cmのタッパー1個分/2~3人分)
・すし飯(ご飯2合、米酢大3、砂糖大2、塩小1/2)
・炒り卵(たまご1個、塩ひとつまみ)
・かまぼこ(約3cm分)
・しいたけの甘辛煮(干ししいたけ10g、しいたけの戻し汁50cc、砂糖大1、しょうゆ大1)

「定番の箱寿司」作り方

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1. 炊いたご飯に合わせ酢を入れて混ぜ、冷ましておく
2. 炒り卵の材料を混ぜて焼く
3. 干ししいたけを戻して薄く切り、甘辛く煮る
4. かまぼこは2ミリほどの厚さに切る
5. タッパーにラップを敷き、1のすし飯を詰める
6. すし飯の上に具材を斜めに並べ、ラップで包んで上から押す

お好みの大きさに切り分けて召し上がれ!切る前に濡れ布巾で包丁を拭くと、米粒がくっつきにくくなります。

色付きご飯で華やか!「エビの箱寿司」

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続いてはご飯に具材を混ぜ込み、エビをトッピングした「エビの箱寿司」です。色付きご飯なら断面も色鮮やか!とにかく楽チンに!を意識した手間抜きレシピです。

■「エビの箱寿司」材料(牛乳パック1個分/1~2人分)
・すし飯(ご飯1合、米酢大1.5、砂糖大1、塩小1/4)
【A】青のりすし飯(青のり小1、ごま・塩適量)
【B】赤しそすし飯(赤しそのふりかけ小1)
・冷凍ボイルエビ(5尾)※解凍してそのまま使えるもの
・鮭フレーク(30g)

「エビの箱寿司」作り方

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1. 炊いたご飯に合わせ酢を入れて混ぜる。3等分し、【A】【B】をそれぞれ混ぜて3色のすし飯を作る
2.ボイルエビは解凍し、厚みを半分に切る
3.1面を切り取った牛乳パックにラップを敷き、Aのすし飯を詰める
4.一旦ラップをのせ、上から押す
5.ラップを外し、すし飯を詰め、ラップをのせて上から押す
6.ラップを外し、Bのすし飯を詰め、ラップをのせて上から押す
7.すし飯の上に具材をのせ、ラップで包んで上から押す

牛乳パックは細長く、具材を斜めに配置するのが難しい...!「みんなが平等にさまざまな味を楽しめるように」という思いは、層を重ねることで表現してみました。

愛知県の市民たちは...

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今回取材した箱ずし保存会のある安城市や、隣接する刈谷市、碧南市では「お正月やお盆はこれ!」「祖母が作ってくれた」と、懐かしむ意見が多数。また、知多半島エリアでも「お祭りの日の定番!」とのこと。伊勢湾・三河湾のシャコやエビ、アサリといった海の幸を使ったものも多いといいます。

一方、高浜市・知立市からは「初めて見た」「まったく知らない」という声も。特に高浜市では「とりめし」という郷土料理があり、こちらが親戚の集まりなどで定番とのこと。

懐かしの味を楽しんで!

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地域によって様々なバリエーションがある「箱寿司」。伝統的な木枠がなくても、お好みの容器を使って簡単に作ることができます。さらに、すし酢やちらし寿司の素を使えばもっとお手軽に楽しめて、具材も旬の野菜や魚介類、お肉や缶詰など、ご飯に合うものは何でもOK。意外に自由度の高い郷土料理であることがわかりました!

みなさんも、家庭で、お店で、愛知県の郷土料理・箱寿司を楽しんでみては?(取材:鶴見弥耶/2022年7月取材)

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